Works 10 — 既存ストックの長寿命化 壊さない、
壊さない、
という選択。
苅田中学校 長寿命化改修
日本の公共建築の多くは高度成長期に一斉に建てられ、いま一斉に更新期を迎えています。すべてを建て替えるには膨大な費用が発生します。一棟の寿命を数十年延ばすことは、現代という時代の要請です。

はじめに — 築48年の校舎
この校舎は昭和50年の竣工です。RC造4階建ての校舎棟、屋内運動場、特別教室棟。着工の時点で築48年になるこの建物群を、苅田町は建て替えではなく長寿命化改修で使い続けることを選びました。
その判断を支えたのは、調査です。耐震診断と劣化調査の結果、コンクリートの躯体は、補修をすればあと30年使い続けられる強度を保っていることが分かりました。
どこまで直すか 
校舎棟の妻面 — 48年分の風雨を受けた外壁を、調査から設計する
外壁は、古い塗膜を除去した上で、ひび割れや浮きを一つずつ補修し、コンクリートの中性化を抑える塗材で仕上げ直します。屋上防水は、既存の防水層を撤去せずその上に重ねる工法を基本にして、廃棄物を減らしました。窓はカバー工法でサッシを更新。内装と照明、給排水の配管も改め、スロープの新設などバリアフリー化も行います。
「全部を新しくする」のではなく、部位ごとに、どこまで直せば30年もつかを見極めていく。長寿命化改修は、その積み重ねです。

変わらない顔
アーチ窓が並ぶこの校舎の立面は、まちの記憶の一部です。かたちは変えず、落ち着いた色調に整えて、次の世代の生徒に引き渡します。