住み慣れたまちで、
暮らし続ける。
看護小規模多機能型居宅介護施設 COCORO
高齢者を一か所に集めて完結させる時代は終わりつつあります。求められているのは、住み慣れた地域のなかで暮らし続けられること。介護と医療と近所の人の出入りを一つの場所に重ねる施設は、その要請への答えです。

高齢者の介護は、本人と家族の負担が大きくなりやすく、最期まで自宅で暮らすことをあきらめてしまう例が少なくありません。
看護小規模多機能型居宅介護は、「通い」「訪問介護」「宿泊」に加えて、医療サービスである「訪問看護」までを、同じ事業所の同じスタッフが一貫して行える仕組みです。住み慣れた家と地域で、最期まで自分らしく暮らし続けるための、地域包括ケアの中心を担う施設です。
施主が望んだのは、誰かが自己犠牲を払うような看護・介護の現場とは一線を画した場所でした。利用者も家族もスタッフも、そして地域の人々も、自然と集まって笑顔になれる、ごく普通の家庭のような佇まい。
私たちは「まず介護ありき」という前提を捨て、利用者が自ら動くことを促し、ここを訪れるすべての人の日常を豊かにする「みんなの家」を目指すことにしました。

郊外の住宅地という立地に対して、寄棟の大きな傘のような屋根をシンボリックに浮かべ、内と外の中間領域をつくりながら、人々を優しく包み込む構成としました。
周囲の住宅地にスケールを合わせた低い軒が人々を招き入れ、将来にわたって地域のシンボルとなることを願っています。


内部は、利用者が自ら動くことを促し、スタッフも自分の居場所を見つけられる、回遊性の高いロの字型の平面です。四季が移ろう中庭や坪庭に沿って心地よい居場所を配し、互いのスペースを完全には閉じていません。
ひとりで部屋にいたい時。少人数で語り合いたい時。大勢でリビングに集まりたい時。時によって変わる「私」の望みに応えて、人々が適度な距離感を保ちながら、全体として家族のような一体感を感じられる空間を目指しました。
あわせて、高齢者の身体にやさしい温熱環境を整えるため、出寸法1.5mの庇で夏の直射日光を遮り、冬の日差しを室内へ届けています。
